第二章-2 西洋料理と僕

テーブルに座るやいなや、山盛りに盛られた唐揚げには目も向けず、早口で母に疑問をぶつけた。「ねえ、俺の押入れにあった料理の本、お父さんのやろ?」母は、素っ気なくそれを認めた。「そうや。置いとくとこないからそこに置いといて」...

第二章-1 父の料理本

転校は、思ってたより大げさなものではなかった。気持ちはさほど揺れず、”ああ、今日で進明に通うのは最後だなぁ”くらいしか思わなかった。5月14日。中学2年生の新学期が始まって1ヶ月とちょっと。学年が上がるごとにクラス替えが...