第三章-6 意志へと変わる瞬間

僕はそわそわしていた。授業も半分上の空のまま昼休みに入る。僕はトメちゃんたちと一緒にSOGOのフードコートでお昼を食べることにした。ここへはよく来る。学校から歩いて10分くらいのところにあって、大きなパテの入った野菜たっ...

第三章-5 思わぬ行動

”箱根オーベルジュ・オーミラドー オーナーシェフ勝又登氏” 黒板の右端に縦書きでそう書かれている。 今日は外来講師の授業の日だ。 箱根というところにもちろん行ったことはないので山の方くらいのイメージしかなく、避暑地的なと...

第三章-4 内定通知書

夏休みが終わると、登校する生徒が気のせいか少なくなってる気がした。空席がちらほらと目立つようになり、廊下の人通りもなんとなく減ったような、そんな気がした。担任が言うには、毎年夏休みを境に学校を辞める子が少なからずいるのだ...

第三章-3 ふわふわした面接

卒業まではあっという間だ。たった1年しかない。4月に入学したばかりなのに6月にはもう、就職活動を始めならなければならなかった。僕はフランス料理の道に進むと決めていたけど、どの道に進むのか決めかねている子もいた。特にフレン...

第三章-2 仲間がいたから

寮で村田とトメちゃんの二人が同じクラスだった。当たり前のようにこの三人で一緒に学校に行くことになる。 そして初日から僕ら三人は、開始時刻の30分以上も前に学校に行き、教室の一番前の真ん中を陣取った。教室を見渡すと、ざっと...

第三章-1 入学式と寮生活

昨日は眠れなかった。福井駅から特急サンダーバードに乗って大阪に向かう。よそ行きの服を着た母の隣で、僕は買ったばかりのスーツにぎこちなく包まれ座っている。今日は辻調理師専門学校の入学式の日だ。会場は大阪城ホール。そもそも入...