世界最高峰のホスピタリティに触れた一日。料理人として世界大会を支える。
2026年10月19日、東京で開催された「HOSPITALITY × OMOTENASHI ACADEMY TOKYO 2026」に、サポートシェフ(3人のうちの一人)として参加してきました。
この大会は、世界各国から集まったプロフェッショナルなサービスマンたちが、サービス技術や判断力、そしてホスピタリティを競い合う国際大会です。
料理人が腕を競う世界大会はよく知られていますが、今回の主役はサービスのプロフェッショナルたち。
その競技の料理部門を、裏方としてサポートするという貴重な機会をいただきました。
世界のプロフェッショナルが放つ緊張感
会場には、世界各国から集まったトップクラスのサービスマンたち。
競技に臨む彼らの表情は真剣そのものでした。
一つひとつの動作、立ち居振る舞い、料理の扱い方、そして目の前の相手への気配り。
普段、レストランでは自然に行われているように見えるサービスも、その背景には長年培ってきた技術と経験、そして徹底した準備があるのだと、改めて感じさせられました。
私自身、長年料理人として仕事をしてきましたが、世界のトップレベルで活躍する人たちの真剣な姿には、やはり心を動かされます。
国籍も文化も違う。
けれど、目の前の仕事に全力を注ぐ姿勢は、料理人もサービスマンも変わらない。
その姿を間近で見られたことは、とても刺激的な経験でした。
料理人として、できる限りのことを
今回、私の役割は競技を料理の面から支えること。
主役はあくまでも競技者たちです。
料理は、彼らが技術を発揮するための大切な要素のひとつ。
だからこそ、こちらの仕事が競技の妨げになってはいけない。
普段のレストランとは異なる環境の中で、求められることに一つひとつ応えながら、私も精一杯取り組みました。
競技者たちの真剣な姿を見ていると、自然とこちらも気持ちが引き締まります。
自分が評価される舞台ではなくても、誰かの大切な舞台を支える仕事には、また違った責任とやりがいがあります。
そして、料理人として積み重ねてきた経験が、こうした国際的な舞台で少しでも役に立つのであれば、これほど嬉しいことはありません。
サービスもまた、誇り高い専門職
今回、特に印象に残ったのは、サービスという仕事の奥深さです。
会場では、フランスの国家最優秀職人章であるMOFをサービス部門で受章した方や、世界トップクラスのサービスマンたちとお会いする機会にも恵まれました。
MOFは、フランスで卓越した技術を持つ職人に授与される、非常に権威ある称号です。
料理の世界でもMOFは特別な存在ですが、サービスの世界にも同じように技術を磨き、その道を極めてきた人たちがいます。
料理人は、どうしても料理そのものに意識が向きがちです。
しかし、レストランという場所でお客様が体験する価値は、料理だけで完成するものではありません。
料理を運ぶタイミング、言葉の選び方、距離感、場の空気を読む力。
そして、お客様が何を求めているのかを感じ取る力。
料理人が一皿に込めた想いを、お客様の感動へとつなげるのもサービスの仕事です。
料理人が料理をつくり、サービスマンがその料理を体験へと変えていく。
どちらが上でも下でもなく、互いの専門性を尊重し合ってこそ、素晴らしいレストランが生まれるのだと思います。
世界に通じる「おもてなし」とは
今回の大会には多くのメディアも取材に訪れ、ホスピタリティという仕事に対する関心の高さも感じました。
日本には「おもてなし」という素晴らしい文化があります。
一方で、世界には、それぞれの国の文化や価値観から育まれたホスピタリティがあります。
表現の仕方は違っても、その根底にあるのは、相手を思いやり、心地よい時間を届けようとする気持ちなのではないでしょうか。
ただし、その気持ちだけで一流のサービスができるわけではありません。
想いを形にするためには、知識も技術も経験も必要です。
料理も同じです。
美味しいものをつくりたいという想いがあっても、それを実現する技術がなければ、お客様には届かない。
ホスピタリティとは、相手を思う気持ちを、確かな技術によって形にすること。
今回の大会を通して、そんなことを改めて考えました。
料理人として、また新しい経験を
これまで長く料理の世界に身を置いてきましたが、まだまだ知らない世界があります。
今回のような機会をいただくたびに、料理人という仕事の可能性は、レストランの厨房の中だけにとどまらないのだと感じます。
世界中のプロフェッショナルたちと同じ空間で仕事ができたこと。
競技者たちの真剣な姿を間近で見られたこと。
そして、その舞台を料理人として支えることができたこと。
大変貴重な経験であり、本当に光栄なことでした。
華やかな表舞台ではなく、今回は裏方としての参加でしたが、だからこそ見えた景色もあったように思います。
この経験を、これからの自分の料理やレストランづくり、そして若い世代の料理人たちにも還元していきたい。
最後に、この素晴らしい機会をくださった大会関係者の皆様、そして世界各国から集まった競技者の皆様に、心から感謝申し上げます。
料理もサービスも、人の心を動かす仕事。
改めて、そう感じた一日でした。
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