青森&北海道の旅
僕は、年末年始に行くはずだったスリランカ行きを断念した。
半年も前からパートナーと念密に計画して飛行機もホテルも全部予約していたのだけど、11/28に巨大なサイクロンがスリランカを襲い、僕たちはこの旅を断念せざる得なかった。スリランカへ行く目的は、建築家ジェフェリー・バワの最高傑作と言われているヘリタンス・カンダラマのホテルに泊まることだった。

ヘリタンス・カンダラマ(Heritance Kandalama)
正直、最初は少し残念だった。
けれど気を取り直して旅先をスリランカとは真逆の極寒の世界へ。青森と北海道に行くことにした。
そして、その選択が、思いがけず日本の奥深い美しさと向き合わせてくれた。
誇りは、かたちになる——青森のエネルギー
1日目は青森市へ。
青森で目にしたねぶたの巨大灯籠。あれはもう紛れもないアートだった。間近で見ると、造形の迫力以上に、青森県民の誇りや歴史、積み重ねてきた時間が宿っているのが伝わってくる。
僕は食の世界で仕事をしているけれど、文化や土地への誇りがあるかどうかで、その地域の食の力はまったく違ってくる。誇りは、エネルギーになり、人を動かし、未来をつくる。ねぶたは、その象徴のように感じた。
青森を一気に好きになった。

自然は、語らずしてすべてを伝える
翌日、雪深い八甲田山へ。
八甲田山で見た一面の雪景色。音が雪に吸い込まれていくような静けさの中、白く覆われた森をただ眺めていた。そこには説明も、主張もない。ただ「在る」という強さだけがあった。
自然が語りかけてくるとは、きっとこういうことだ。人間が余計なことを考える前に、心の奥を整えてくれる。僕はこの静けさの中で、「食の可能性」もまた、自然への敬意から始まるのだと再確認した。

文化に触れることは、未来に触れること
3日目は北海道へ。
アイヌの里、白老という街へ向かう。
白老で泊まったのは、星のリゾートの「界 ポロト」。ここで触れたアイヌ文化、建築、そして目の前に広がるポロト湖の静けさが、僕の心に大きな余白を生んでくれた。
文化とは過去の遺産ではなく、今をどう生き、どう未来につなぐかという選択の積み重ねだ。多様な価値観を尊重し、共創していく姿勢は、食の世界にも、社会全体にも必要不可欠だと強く感じた。

景色には、人を整える力がある
函館では夜景やジンギスカン、赤煉瓦倉庫といった王道を楽しみつつ、立待岬に立ち寄った。あの景色には、不思議と人の心を整える力がある。視界が開けると、思考も感情も自然と整理されていく。



旅とは、非日常に身を置くことではなく、自分の感覚を取り戻す行為なのかもしれない。
僕は、予定外だったこの旅で、日本の美しさと深く出会えた。
選択が変われば、見える世界も変わる。
食も旅も人生も、選択のチカラで未来はつくれる。
そう、改めて実感している。


