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小川シェフのブログ

仕事のこと

本物のオーベルジュを目指す

地方でオーベルジュをいくつも監修をしているが、まだ「本物のオーベルジュ」を実現できているとは思っていない。僕が目指しているオーベルジュとは、レストランがメインであり、そのレストランでの食事を楽しむことが一番の目的で、その後にそのまま宿泊して余韻を楽しめるのが本来の形だ。レストランの体験が中心で、その場所でしか味わえない料理やおもてなしを堪能した後、そのまま泊まれるという特別な魅力があるべきだと思っている。

僕が最初に修行したレストランはオーベルジュだった。箱にある「オーミラドー」。勝又登シェフが作った日本で最初のオーベルジュ。このオーベルジュは本物だった。そして僕の理想でもある。

実は、自分の店「LULL」に宿泊施設を作れば、目指すべき本当のオーベルジュが実現できるかもしれないと考えたこともある。LULLには古い蔵が2つあり、それらをリノベーションして宿泊施設にする構想もあった。しかし、様々な理由から断念することになった。あの蔵が宿泊施設になっていたら、LULLの料理を楽しんだ後、そのまま坂井市の静かな夜を味わい、翌朝は地元食材を活かした特別な朝食を提供できる…そんな夢のようなプランも思い描いたが、実現するにはまだ課題が多いと感じている。

今監修しているオーベルジュも、クライアントの事情や地域の状況を踏まえた結果、妥協点を見出さざるを得ないことが多い。僕自身、地方創生や地域活性化というテーマを持ってプロジェクトに携わっているから、その土地の条件に合わせた形にすることは理解している。だけど、心のどこかで「これは自分が目指しているオーベルジュではない」と感じてしまうのだ。いつか、食事を目的とした真のオーベルジュを作り上げたいと強く思っている。

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